2013年11月17日日曜日

【タンタンの暴言】ゲームのビギナーとベテランを考える



こんにちは、土曜日ブログ担当の、丹沢です。
もう日曜日ですね。更新遅くなってすみません!

以前このブログでも紹介させていただきました、マルチジャンル・ホラーRPG「インセイン」を先日また、遊んできました。



 お話は前回の続きということもありメンバーも気心がしれてきて、セッション(TRPGの一回のゲームのことをこう呼びます)は大盛り上がり。キャラクター同士の掛け合いも絶妙で、大どんでん返しの後、非常に美しいエンディングを迎えることができました。


楽しかった要因を分析してみると、前提として「参加者全員に一定以上のTRPGプレイ歴があった」ということがあるんですね。

お互いに「この人ならこのくらいのムチャぶりをしてもカッコよく返してくるに違いない」だとか「言わなくても分かるでしょ、このパターン!」といった、一定のプレイスキルを持つ同士だからこその丁々発止がなければ、あれほどの楽しさは出なかったのではないかと思うわけです。即興演劇に近いTRPGにおいては、やはり「プレイヤースキル」的なものが存在し、それがプレイの楽しさを左右します。

本当はゲームプレイヤーをビギナーとかベテランとか格付けしたくはないのだけれど、敢えてそう分けてみると、全員がある程度ベテランでなければ味わえない楽しさというのは、確かにあるな、と思うのです。


そもそも、「ベテラン」が存在できるゲームは、遊びに奥深さのある「良いゲーム」である可能性が高いです。そういったゲームにおいて、「ビギナー」と「ベテラン」がどう共存していくべきかどうやって「ビギナー」を「ベテラン」に変えていけるか、という問題は、いかにそのゲームを長続きさせていくか、という視点で考えた時の共通の課題だと思います。


例えば僕が大好きな格闘ゲームですが、格闘ゲームをあまり遊んだことのないひとを誘って楽しく遊ぶのはなかなか難しい。わざと負けたりするのもお互い微妙だし、プレイスキルが拮抗している同士で遊ぶピリピリした駆け引きの楽しさにはどうしてもかないません。

格闘ゲームに限らず、1対1で勝敗を決めるゲームはその傾向が強く出ます。この手のゲームは、一度プレイヤースキルの平均値が上がってしまうと、ベテランの存在自体が新規ユーザーを拒絶する壁になっていきます。
将棋や囲碁といった伝統的なボードゲームも同じで、だからこそ、ハンデ戦のルールがあったり、年齢やレベルごとの大会が行われたりするわけです。


最近流行している「人狼」も近い傾向があります。複数人で遊ぶ性格上、1対1のゲームほどはプレイスキルの差による明確な勝敗はつきにくいですが、やはりビギナー向けの人狼とベテランオンリーの人狼では、ゲームの性質が変わります。

「流行っているから人狼の会に参加してみたけど、参加者がベテランばかりで専門用語が飛び交って怖かった」というようなことを最近よく耳にします。これはベテラン向けの人狼会だと知らずに参加してしまった不幸だと思いますが、この傾向って、人間同士で遊ぶゲームには少なからずあるのです。「ドミニオン」のような運の要素の少ないボードゲームでも、やはり定石を分かっているベテランに、ビギナーは勝てません。勝敗だけが楽しさではないと思いますが、とはいえ何度やっても勝てないゲームを、根気よく続けるというのはなかなか難しいことです。


「ロードオブヴァーミリオンⅢ」では、それまでのシリーズの1対1をやめ、4対4のマルチバトルを採用しました。これは、「始めてみたけど全然勝てない」という状態と「やっと勝てるようになってきた」という状態の間に、「他の3人のお陰で勝つことが出来た、次は自分自身があんな風に動けるようにやってみよう」という階段をつくりたい、という意図があります。

これがうまく機能しているかどうかは、もう少し時間をかけて見ていかなければならないと思っていますが、いずれにせよ、あるゲームが長く遊ばれていくためには、


ベテランの楽しさ = ゲームの奥深さ


と、


ビギナーの楽しさ = はじめるハードルの低さ


が両立できていなければならないわけです。


僕は学生時代、自分の大好きなTRPGのプレイ人口を広めたいと思い、初心者向けのイベントを開催したり、TRPGに興味のある人を積極的に誘ってセッションをしたりしていました。
でも、頑張った割にあまり成果(ビギナーの定着)があがらず、結局、自分が一番楽しく遊べるメンバーを集めたサークルを作り、目標であった「ビギナー獲得」は諦めてしまいました。

TRPGはベストのメンバーがいれば一生遊べるというその性質上、どうしてもコミュニティが閉鎖的になりがちです。でも、こんなに楽しい遊びを、僕らがそのまま墓場まで持っていくのは、それはもったいないなと思うのです。


そんなわけで、来年は自分のゲーム作りの原点でもある古巣のTRPGワールドに戻って、ちょっと色々画策してみようかなと思ったりしています。人狼やボードゲームがこれだけ流行っている今なら、TRPGだって広がるはず。


学生時代のリベンジマッチ!



・・・ちょっと、ワクワクしています(笑)


4 件のコメント:

  1. ゲームをプレイすると言う事と、ゲームのベテランになると言う事は根本的に違います。
    そしてゲームをプレイして、面白いと感じるのはちゃんと初心者でも感じていますよ。
    (それを感じられないとそもそも面白いゲームじゃないし)

    ベテランの人が初心者を寄せ付けない原因になっていると言うのは不完全な指摘です。
    正確にはベテランの人がそう思い込んでいるだけで、初心者はゲームの面白さを感じて、
    楽しんでいるだけであり、ベテランを目指そうなどと考えていないだけなのです。
    それは、ベテランのせいではないですし、ゲームのせいでもありません。

    ただ単に初心者の人達の中にはそういう人達がいるというだけの話です。

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  2. たしかにインストールで一時間とか前日から読んでおかないとだめなゲームもあるからなぁ。テーブルトークって、なんか始めるのも続けるのも大変だね。


    2年前くらいだっけ?僕はたんたん(ベテラン)から、ドクロと薔薇とか
    ああいう分かりやすいのを教えてもらって、ボドゲー再開したので
    よかったのかもしれない。今もコンスタントにボドゲー買うようになってるし。


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  3. どうも。丹沢さん。れにうです。
    ビギナー獲得は広告、どこにビギナーが行くかは人事。そのビギナーが、どの部署に行って、どう育つかは部署によって決まる。
    っていう会社みたいな話だと思います。
    それと、ビギナーが感じる辛さは、ベテランでも感じているのだと思います。ベテランは、それを乗り越える術を知っている、そして実践できる。
    その乗り越える術を専門的な言葉で固める。それを全体的に共有する。ビギナーには、なぜベテランが、なぜそこに行きついたかを考えてもらうのが良いのかもしれません。
    会社寄りの話ですが、近年は成果主義からプロセス評価に変わりつつあると思います。
    不定期なプロセス評価が業績の底上げに繋がる。正直、自信ありませんが。
    その先頭をゲーム実況が進んでいるのかもしれません。

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    1. 確かに!
      ゲーム実況は従来の宣伝手法ではない形でゲームの面白さをひろげる新しいアプローチかもしれません。可能性を感じますね。
      厳密には仕事とゲームでは根本のモチベーションが違いますが、会社の新人-ベテランの関係と問題解決方法には参考になる部分もありそうです。

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