2013年8月10日土曜日

【タンタンの暴言】タイムマシンがあったらやりたいこと


もしもタイムマシンがあったなら…

なんて子供っぽい妄想だよね!








いや…


心にもないこといいました。

オトナだって、たまには空想の羽根を広げないと
死んでしまいます。




「もしタイムマシンがあったら…」という空想は「もし透明人間になったら」「もし宝くじが当たったら」と並ぶ、誰もが一度は思い浮かべる人類3大妄想のひとつと言えるのではないでしょうか。


もしタイムマシンがあったら…
僕は、10年前の僕に会って、こう言ってやりたいのです



 「おまえの仕様には愛がないんだよぉ!」








…その頃の僕は、某社の開発チームでPS2の「ラクガキ王国2 魔王城の戦い」というゲームを制作していました。

平面に描いたキャラクターが立体になって動き出す


という、企画的にも、技術的にも、当時かなり攻めてたゲームだと思います。

僕は1作目にあたる「ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国」のファンだったという理由で前職の会社に入社したので、希望通りその続編にあたる「2」の開発に関われたことが本当に嬉しくて、ほとんど会社に住みつく勢いで仕事をしていました。


でも、今考えると、それが大きな落とし穴でもあったと思うのです。



ゲームデザイナーは一般的に、そのゲームが得意すぎないほうが良いと思います。

まず、得意なやつはチュートリアルが作れない。

だって、できちゃうから。

弱P 弱P → 弱K 強P

というコマンドを見たら、すぐに瞬獄殺だせちゃう。


アクションゲーム等の開発のためにハイレベルなバランス調整が必要だったとしても、できれば腕の良いプレイヤーにプレイさせ、ゲームデザイナーは客観的な視点でそれを評価するほうが良いと思います。
トッププレイヤーの主観的な意見だけをフィルターを通さずに反映させ続けたゲームの末路は、複雑化の末のプレイ人口の先細り、そしてジャンルの衰退です。

シューティングゲームも、格闘ゲームも、音ゲーも、かつて一時代を築いたジャンルは、みんなその道を通って来ました。

シリーズを重ねる毎に増え続けていくゲームシステム、シビアなコマンド入力、とてもクリアできる気がしないルナティックな難易度。初めて見た人はどこに「入り口」があるのか見えません。そうやって初心者をシャットアウトしてしまえば、あとは当然、しぼんでいくだけです。

コア向けニッチジャンルであればそれでも巡航モードに入れる可能性はありますが、ビジネスとして成立し続けるのはなかなか難しい。


10年前の僕はラクガキ王国が好きすぎて、自分が次に遊んでみたい「夢のゲーム」をそのまま仕様に落としてしまいました。自分だけが遊ぶのであればそれでいいけれど、そこには、遊ぶ人たちに対する「愛」がありません。あるのは自己満足のためだけの、歪んだ愛です。


書きながら思い出したのだけど、一度、企画の会議中に先輩プランナーから「お前の仕様はゲームデザイナーのエゴだ」と指摘されたことがありました。当時の僕は何を言われたのか理解できず、ただ反発しただけでしたが。



若かったね…




もちろん、自分としては、意図的に複雑にしようとする意識は全くありませんでしたが、作りながら何百時間プレイしていれば、当然「慣れ」がでてきます。「慣れ」た自分の目線で気持ち良いバランスを取ってしまったら、これはうまくありません。

「誰でもできる操作」

が、

「100時間練習すればできるようになる操作」

という意味に変わってしまうからです。


結果「ラクガキ王国2」は、ゲームシステムの進化にも関わらず、前作よりもユーザーを増やすことができませんでした。それには色々な要因があったと思うけれど、ニッチターゲットに振りすぎたというプランニングの責任は大きかったと思います。

今でも根強いファンの方がニコニコ動画やYouTubeに新作ラクガキの動画を上げ続けてくれていて、こんなに長く愛してもらえるコンテンツもなかなかないなぁ、とありがたく思う反面、どうしてあの時、もっとユーザー目線で仕様が切れなかったのか、と、改めて振り返ると布団にもぐってじたばたしてしまいます。

入り口の敷居は低く、奥行きは深く設計できていたら(できたはず)、もっと多くの人に遊んでもらえていただろうに。今だったら確実に、そういう視点で仕様を切るよなぁ。


未熟なプランナーが、魅力的な遊びをとてもニッチな世界に閉じ込めてしまった。


あんな自己中プランナー、今の僕だったら確実にプロジェクトから外してます(笑)



そんな後悔をしないためにも、自己表現とプレイヤーの視点のバランスを上手に取って、遊ぶ人に対する「愛」のあるモノ作りしていきたいものですね。


自戒をこめて!




写真を探してたら出てきました。
ラクガキ王国デザインコンセプトのアミューズメント施設もあったのです。
一度イベントやらせてもらったけど、素敵なお店だったなぁ


2 件のコメント:

  1. ♪どんなに辛いことでも 永遠に続くとは誰も思っちゃいないよ~
    大丈夫まだ大丈夫 頑張ってるあなたの何かを応援できたらかなり成功~

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  2. 「だいだい的に過去作ったゲームの反省会をするゲーム実況」をやる案

    これを番組でやろうか!?
    怖くて仕方ない企画だけどね!

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