みんな本業が忙しくて、ポリポリ★ブログの更新頻度が落ちてきている今日このごろ。
うかうかしてると、タンタン★ブログに改名しちゃうよ!
てなわけで、こんにちは。土曜日担当の丹沢でございます。
まだ詳しくは書けないのだけど、僕も今、せっせと新しいものを仕込んでいたりします。
時間と体力がもつ限界まで、なるべくたくさんのことにチャレンジしていきたいものです。
クリエイターの限界、という話をしようとしたとき、最近ではどうしても「風立ちぬ」で宮崎監督がおっしゃっていた「10年限界説」が頭をよぎります。僕もゲームを作り出して既に10年以上になるので、この話を聞くと妙にドキドキしてしまうわけです。
でも、10月13日に亡くなられたやなせたかしさんは、そんな僕らの不安を吹き払ってくれる、メンター的な存在であったなぁと思うのです。
やなせさんがアンパンマンを描き始めたのは50代の頃。
アンパンマンのやなせたかしとして認知され、売れっ子になったのが70代になってから。
そしてそれからさらに20年、94歳まで現役を貫かれました。
この生き様は、僕らに大きな希望を与えてくれます。
やなせさんには、ラクガキ王国のゲーム中に登場する「ラクガキ」のデザインにご協力頂いたり、大学の大先輩だったりと、薄く接点がありそうな立場にありつつも、結局直接お会いして話したことはないのですが、僕はゲーム業界に入って悩んでいた時期に、一度やなせさんの言葉に助けられたことがありました。
たしか新書本だったような気がするんだけど記憶が曖昧で出典が思い出せないのですが、やなせさんが「アンパンマン」について、
アニメの視聴率が落ちた時、何度となく「トレンドを取り入れよう」「美少女キャラを出そう」などというプレッシャーがあったけれど、アンパンマンというコンテンツを親から子の世代まで受け継げるものにするためにじっと耐えてコンテンツを守った
といった趣旨のことを書かれているのを読んだことがあります。
アンパンマンは児童玩具界の巨人コンテンツであり、誰もが認める超巨大商業なわけですが、それは決して「たまたま」ヒットしたわけではありません。
短期的な利益や視聴率の増減という近視眼的な数字に過度に踊らされず、コンテンツを長期的な視野で育てようという、やなせさんの意志のチカラがあったからこそ、アンパンマンは今のようなカタチになったのだと思います。
まだゲーム業界入りたてで青かった僕に
愛のある商業コンテンツは実現可能な夢
であることを教えてくれたのが、やなせさんのこの言葉でした。
商業の世界でモノを作ろうとした時、当然「利益」のことを無視することはできません。
「短期的利益」というのも、もちろんすごく重要なことで、もし、アンパンマンが全くトレンドを無視した結果、そこで完全打ち切りになって、会社も潰れて、永遠に商業ベースに乗らなかったとしたら、それはコンテンツにとってはとても不幸なことです。
だから、商業クリエイターはそこには責任を持たなければならない。
コンテンツを守ることと、それを商業的に継続すること。
この2つを奇跡のバランスで両立できないと、アンパンマンのようなエターナルコンテンツを創ることはできません。時には少しコンテンツを傷つけてでも、利益を出さないとならないこともある。そのバランスは、生ある限りクリエイター自身が舵取りすべき責任だと僕は思います。
今、ゲームの世界でそれができているのは、マリオ、ポケモン、ドラゴンクエスト、くらいでしょうか。目指すものとしては、なかなかに、高く険しいハードルです。
もちろん僕自身はそんな夢を見ながらも、10年間全く手が届くところにすら到っていないわけですが、やなせさんがアンパンマンを描かれたのが50代。まだ何度もトライできます。
子供の頃はアンパンマンが勇気をくれて、大人になったらやなせさん自身が勇気をくれる。
つくづく、偉大な人だったなと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
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