2012年2月28日火曜日

クリエイターの「構え」


こんばんわ、丹沢です。

第2回目の放送、如何でしたでしょうか。

録画ビデオを見返したのですが、改めて見ると段取りの悪いところが多くてモジモジしました。シラフでやればもう少しテンポ良い進行もできると思いますが、お酒を飲みながら話すゆるい雰囲気を好きと言ってくださる方もいるので、ここは悩ましいところです。酔っ払っているからこそ踏み込める領域も確かにありますしね。しばらくはこのスタイルで進めるべきだろうと思います。

一方、「ゲームは作品か商品か?」というテーマに関しては、想像していたよりかなり面白い展開になったと感じました。特に、ラスト近く「プロデューサーはクリエイターか?」という話題で、似通っているけれど細かい所で実は結構違っている木村さんと僕の考え方の差が発見できたのが個人的に収穫でした。

僕は、ある程度以上の開発規模のゲームは個人の作品ではなく「共同制作」だと考えています。
ソロのシンガーソングライターのCDがその人の「作品」であることに異論はありませんが、オーケストラのCDが「作品」だとしたら、それは指揮者の作品でしょうか?奏者の作品でしょうか?それともメンバーを集めた楽団のオーナー?楽器を作った職人?それとも何百年前の作曲者の作品でしょうか?
色々な捉え方ができるとは思いますが、僕はクリエイティブを発揮する度合いの多寡はあれ、出来上がったものは関わった全員の作品だと思っています。

例えば映画を見に行くとき、映画自身の面白さに加えて、TVの予告CMや、映画館に着くまでのワクワクする気持ちや、劇場で買うポップコーンなど、そういったものをすべて含めた「体験」に対してお客さんは対価を支払うのだと思います。お客さんのそのコンテンツに対する体験を以て「作品」であると定義するのであれば、広報や営業や映画館のスタッフも含めて、広義ではその作品の作者だと言えます。
今回作成した動画で、宣伝、営業といった外回りを担当するスタッフを開発スタッフに含めたのもそういう意図がありましたし、僕はそう思って彼らと仕事をしています。

 「誰が作者で誰が作者でないか」

と、きっちり切り分けをすること自体にあまり意味はないと思いますが、僕は外回りの人やデバッガーやユーザーも含めて「作り手」側に巻き込むスタイルが好きなので、敢えてそうしています。いや、正確にはそういうやり方しかできないんですね。カリスマでぐいぐい引っ張っていくような進め方ができないので、調整とコミュニケーションでチームの総合力を引き出していかないと勝てないんです。

『ラクガキ王国』はユーザーを積極的に巻き込んだコンテンツでしたし、『地獄の軍団』では、宣伝スタッフを中心に「魔王」のキャラクターを作っていきました。どちらも開発チームだけでは作り出せないコンテンツだったと思います。

モノづくりのスタイルというのは武道の構えみたいなもんで、僕は多分5年後も10年後も得意な構えで戦っているだろうし、木村さんも得意の構えで戦っているんだろうと思います。だからこそ同じトレンドに対しても違うアプローチになるし、その「差」が楽しいんですね。

「クリエイターの構え」という視点で改めてゲームデザイナーを観察してみると、面白いかもしれません。



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